女性は子どもを産む機械…というか、「女性・機械」の二語を聞いて真っ先に思い浮かんだのが、この一節。

パティ・キーンは、わざと頭を鈍くしていたが、これはミッドランド・シティのたいていの女にあてはまることだった。女は大きな動物だから大きな脳を持っているが、つぎのような理由であまりそれを使おうとしない―人並みはずれた考えは敵をつくるおそれがあり、女は、もしいくらかでも安全と心の慰めを求めるなら、ありったけの友人が必要だからである。
そこで、生存のために、彼女たちは自分自身を訓練して、思考機械ではなく同意機械になろうとする。彼女たちの頭がする仕事は、他人がなにを考えているかを発見し、それから自分もそれを考えるだけになる。
(カート・ヴォネガット・ジュニア『チャンピオンたちの朝食』p.177-178)