ふと思い立って、東京都庭園美術館に行く。
「大正シック」という展覧会をやっていた。ホノルル美術館を皮切りに、アメリカを巡回してきたらしい。和装で行くと入館料が安くなるとかで、アンティーク着物を着た女性がたくさんいた。

展覧会の目玉である、中村大三郎「婦女」とその下絵に圧倒される。現代のイラストレーターが描いた作品だといわれても納得してしまいそうだ。たとえば金子一馬とか(笑)この作品は当時から大人気だったそうで、「婦女」柄の襦袢や、博多人形(今でいうフィギュア)が並べて展示してある。展覧会で絵を見てその絵をモチーフにしたアイテムを持つという、新しいスタイルをうかがい知ることができて面白い。柿内青葉「美人」。頬杖をついて物思いにふける女性。悩みとは元来個人的なものであるが、あえて女性自身や彼女の悩みを特定するような情報を省くことで、観客が女性の悩みを自由に想像し、あるいは自らの悩みを投影することが可能となっている。山川秀峰「三人の姉妹」。久原房之助の娘たちと外国車というこのうえなく華やかな題材を描きながら、無機質で冷たい。エドワード・ホッパーを思わせる。

着物は、斬新なものを見慣れている人なら、がっかりするかも。あと、カタログの翻訳が、プロの翻訳者が訳したとは思えない出来。

フォークナー『八月の光』、E.M.フォースター『天使も踏むを恐れるところ』、アーウィン・ショウ『緑色の裸婦』を購入。さて、読むのはいつになることやら…。