サラ・ウォーターズ、中村有希訳『荊の城』

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

舞台は19世紀イギリス、ロンドンの下町。泥棒の養女として暮らすスウは、知り合いの詐欺師「紳士」にブライア城の頭の弱い令嬢・モードと結婚し、彼女が相続する予定の遺産1万5千ポンドを騙し取る手助けをしないかと持ちかけられる。令嬢の新しい侍女として城に潜入するスウだが、次第に優しく美しいモードに惹かれていき…。
二重三重のどんでん返しが読みどころなので、ネタバレせずに感想を書くのが難しい…。ジャンルはミステリだけど、歴史小説に近い。ヴィクトリア朝イギリスの暮らしがいきいきと描かれています。そして百合小説です。スウが指抜きをはめてモードの尖った歯を削るシーンや、モードを象徴する白い手袋のエピソードにはうっとり。でもそれ以上の直接的な描写は必要ない気がする。というか、百合ものである必要すらない気も。