「文学の触覚」@東京都写真美術館

本展では、純文学と視覚芸術・メディアアートとの接点に焦点をあて、現代に活躍する文学作家とメディアアーティストのコラボレーションを行います。本来は読む人のイマジネーションにゆだねられる文学作品の世界を、多様なかたちで視覚化します。
展示を構成する3つのパート、?テキストを耳で聴く/目で見る、?小説の中に描かれた風景の再現、?古典作品へのオマージュ、について、講談社『群像』とNHKエンタープライズの企画協力を得て小説家とアーティストによる新作プロジェクトを制作し、関連事業としてトークや特集刊行を行います。
文学と映像メディアを独自の視点で結びつけ、その共存と、時には競い合う交差を通して、新たな領域と表現の可能性を開拓し探ろうという試みです。参加型の作品群に触れ、私たちの手のひらにこぼれる文学と映像メディアの美しさを体験してみましょう。

穂村弘の短歌を掌で掬う、舞城王太郎の作品生成のプロセスをタイプライターで再生するなど、さまざまな形で文学を体験できる。個人的に面白いと思ったのは、川上弘美と児玉幸子のインスタレーション作品「七つの質問」。鏡の前に立つと川上弘美が静かに問いかけてくる。問いに答えると、シンクの中の黒い液体がぼこりと音を立てる。抉られるような気がした。