北京旅行記

北京旅行5日目(前半)。ほかの日は友人と王道のコースを巡ったので割愛。
【ホテル〜瑠璃廠(ルーリーチャン)】
風邪で前夜から寝こんでいた。夕方になってようやく熱が下がってきたので、のそのそと起きだして、ホテルを出発する。タクシーを拾おうとしたが、気がついたら赤い幌のついた人力三輪車に乗せられ、瑠璃廠の胡同(フートン)巡りをさせられていた。乗馬さえ気味悪がったわたしだ。人がひく乗り物を好きになれるわけがない。胡同もブラジルの貧民窟にしか見えない。

強引に降ろしてもらい、2日前に印鑑を彫ってもらった印章店に向かう。師傳(シーフ)は、瓶底眼鏡にポニーテールの男性で、店の内装に合わせた真っ赤なシャツを着ている。わたしと同い年のはずだが、わたしよりずっと若く見える。英語が通じないながらも、ジェスチュアで認印を彫ってもらう。出来上がるのを待つ間、店を師傳ごと買い占めることを夢想する。

通りの反対側の骨董街を歩く。流暢な英語を話す店員にすすめられて、一対の纏足靴を見る。梅の枝が刺繍された、赤いロータス・シューズ。「足が小さければ小さいほど美しいとされていました」一対の小さな足が見える。

長安街周辺】
家族に頼まれた月餅を探すため、タクシーで高級ホテルが多く集まる地区へ。結局、月餅は見つけられず、ハーゲンダッツで一休みする。ピーカンパイが夢のように美味しい。ホテルの土産物屋を冷やかし、西華門前の茶芸館・紫藤芦に向かう。

【西華門前】
残念ながら、紫藤芦があった場所はほかの店になっていた。ガイドブックを見ると、同じ区内に有名な茶芸館があることが判明。辺りはすでに真っ暗だったが、歩いてみようという気になる。外堀越しに見る故宮は美しかった。裏側なので、けばけばしいライトアップはされておらず、月光で明るんだ空に、建物の輪郭が黒く浮かび上がっていた。なみなみと水をたたえたお堀に飛び込みたい衝動にかられる。