千之ナイフ『SADE』

サド (古典名作集 1)

サド (古典名作集 1)

サドを中心に古典を漫画化。『オーギュスティーヌ・ド・ヴィルブランシュ あるいは恋の駆け引き』に始まり、『ユージェニー・ド・フランヴァル 悲惨物語』、『美徳の不幸』と『悪徳の栄え』(一本にまとめてある)、グリム兄弟の『人殺し城』を挟んで、『O嬢の物語』というマニアックなチョイス。
サディズム/マゾヒズムはもちろん、ピグマリオニズム、ネクロフィリア、同性愛、近親相姦、身体改造、TSF(性転換)といった、めくるめく倒錯と耽美の世界が広がる。去勢されそうになる女装美少年とか、実の父親(愛称は「お兄さま」)に調教されてしまった美少女とか、剥製のふりをする美少女とか、もうすごい。

だからあんたは伯爵の前で剥製のふりをしなけりゃならないよ
もしもバレたらあんたは伯爵にその場で殺される
だが それがあんたに残された生きる道さ

少女がかわいいのはもちろんですが、男性のキャラクターもとても格好いいので、作者は若い女の人だと思っていたら、なんと40代後半の男性なんですね。言われてみれば、絵柄が松本零士っぽい…?