2007-06-15 宇月原清明『聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ)』 聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫)作者: 宇月原晴明出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/09メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (19件) を見る前作『信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』以上に豪華絢爛だが、信長、秀吉、家康のほろりとさせられる友情話が挿入されており、ページ数が増えたわりに読みやすく仕上がっている。今回のテーマは、グノーシス主義、錬金術、ラ・ピュセル。前作もタイトルからしてアントナン・アルトーのパロディで、アルトー本人が狂言回しとして登場しているのに驚かされたが、今回も関白秀次をジル・ド・レと重ね合わせ、聚楽第を錬金術の魔窟に変えてしまうという、あいかわらずの無茶ぶり(褒めてます)。荒唐無稽な設定でも、引き込まれてしまうのはストーリーテリングの力か。異端審問官の決めぜりふ、「○○に異端宣告(アナテマ)!」はちょっと真似したい。