牧野修『MOUSE』

MOUSE(マウス) (ハヤカワ文庫JA)

MOUSE(マウス) (ハヤカワ文庫JA)

言葉が魔法のような力を持つという世界観が面白い。ネバーランドの子供たち全員が、それぞれの好みに応じてブレンドしたドラッグを摂取することにより、思い思いの幻想を見ている。そこに客観的現実は存在しない。そこで、敵への攻撃も仲間との連携も言葉を通じて相手の幻想世界を支配することによって行われる。相手を精神的に追い詰めてバッドトリップさせる(「落とす」)戦闘や、連想ゲームのように言葉を連ねることによって、幻想を共有する儀式・「同調」など。より強い幻想が現実となる世界で、子どもたちがたどり着いた結論は?