エイミー・タン『ジョイ・ラック・クラブ』

ジョイ・ラック・クラブ (角川文庫)

ジョイ・ラック・クラブ (角川文庫)

近所の古本屋で3冊200円だった。中国系アメリカ人作家エイミー・タンの代表作で、わたしもアメリカン・スクールのリーディングのクラスで読まされたものです。中国人移民の母親たちとアメリカで育った娘たちのギャップが主題なのかな。
中国時代の話はとても幻想的なのに力強い。わたしが好きなのは、母親の一人・リンド・ジョンが、結婚式に向かう輿の中から、雨で濁った河を見て、自分のために生きることを決意するシーン。

私は心の中で自問した―人間にとって、何が真実なんだろう?河の色が変わるように自分が変わったとしても、まだ同じ人でいられるのだろうか?(略)私は目をぬぐって鏡を見つめた。そこに見えたものに驚いた。私は真紅のドレスを着ていたが、それよりもっと価値のあるものを見た。強くて、純粋な自分の姿を。誰にも見えない、誰も取り上げることができない自分だけの思いがうちにあった。(略)私は自分に約束した―両親の願いは決して忘れまい、だけど自分のことも決して忘れまい。(p.67)