エイミー・タン『ジョイ・ラック・クラブ』
- 作者: エィミタン,Amy Tan,小沢瑞穂
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1992/06
- メディア: 文庫
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中国時代の話はとても幻想的なのに力強い。わたしが好きなのは、母親の一人・リンド・ジョンが、結婚式に向かう輿の中から、雨で濁った河を見て、自分のために生きることを決意するシーン。
私は心の中で自問した―人間にとって、何が真実なんだろう?河の色が変わるように自分が変わったとしても、まだ同じ人でいられるのだろうか?(略)私は目をぬぐって鏡を見つめた。そこに見えたものに驚いた。私は真紅のドレスを着ていたが、それよりもっと価値のあるものを見た。強くて、純粋な自分の姿を。誰にも見えない、誰も取り上げることができない自分だけの思いがうちにあった。(略)私は自分に約束した―両親の願いは決して忘れまい、だけど自分のことも決して忘れまい。(p.67)