高尾滋『ゴールデン・デイズ』

銀ヴァルが10巻で完結していました。9巻までしか読んでいないのですが、「女が男を奴隷にする世界」という奇抜な設定を生かしきれていなかったように思います。存在しない国家の話なのですから、そのぶん世界観を深く追求するとか*1、女性と男性、支配階級と奴隷、現地人とルカの考え方の違いを強調するとか、騎士・奴隷間の隷従関係を読者がひくくらい異常なものにするとかすれば、面白くなったと思うんだけど…。銀ヴァルの場合、舞台装置や細かい設定(死体が結晶化とか)はファンタジーなのですが、世界観の構築が甘かったのと、キャラクターのメンタリティが現代人そのもので、そのあたりが消化不良っぽい印象を与えるのかなと思いました。
かわりに衝動買いしてしまったのがこれです。

ゴールデン・デイズ 第1巻 (花とゆめCOMICS)

ゴールデン・デイズ 第1巻 (花とゆめCOMICS)

ゴールデン・デイズ 第2巻 (花とゆめCOMICS)

ゴールデン・デイズ 第2巻 (花とゆめCOMICS)

高尾滋は絵柄が少し変わったんですね。あと、分かりづらさに拍車がかかったというか…。たまに状況説明が不十分で、何が起こっているのかわからないページがあります。あ、ストーリーは地味だけど面白いです。大正浪漫。

*1:個人的に、なぜ地方のヴァルキュリアが軍事力を背景に首都に対して反旗を翻さないのかということが、とても不思議です。あと、国土が広いわりに首都以外は農村ばかりなので、コロシアムを建てられるほどの財源がどこから来ているのかということも気になります。