メアリ・ルノー、堀たほ子訳『アレクサンドロスと少年バゴアス』

アレクサンドロスと少年バゴアス

アレクサンドロスと少年バゴアス

映画『アレキサンダー』の中で、インドで踊りを披露する美少年がバゴアスです。ペルシア貴族の生まれだったが、幼いころに父が殺され一家は離散。バゴアスは去勢され、商人の妻の奴隷に*1。生まれつきの機転と美貌を発揮して、ダレイオス3世の王宮に召抱えられるが、ダレイオスが逃走してからは、アレクサンドロスの遠征に加わります。アレクサンドロスとの信頼関係とか、アレクサンドロスの幼なじみの恋人へファイスティオン*2との確執とか、浮気とか、まあ色々あるんですけど、美貌の宦官バゴアスはそつなく切り抜けていくわけですよ。具体的な描写は少ないけどとにかくホモばかりなので、優等生な誘い受けキャラが好きな腐女子にはおすすめかもしれません。
でもこの本、バゴアスがアレクサンドロスに出会う前のペルシアの洗練された風俗の描写のほうが面白いんですよね。アレクサンドロスマケドニア軍はひたすら行軍して、たまに酒盛りをやってるだけなので。
ちなみに歴史小説で、作者の創作の比重が高い感じです。バゴアスは実在の人物ですけどね。

*1:しかも主人の取引相手(男)に貸し出されたりしちゃってます。なにこのBL展開。

*2:アレキサンダー』ではジャレッド・レトが演じてました。昔はティーン誌に載るようなアイドル的存在だったのでびっくりしました。