アントナンアルトー『ヘリオガバルスまたは戴冠せるアナーキスト』☆☆★★★

ヘリオガバルスまたは戴冠せるアナーキスト (アントナン・アルトー著作集)

ヘリオガバルスまたは戴冠せるアナーキスト (アントナン・アルトー著作集)

そして興奮の絶頂、狂乱の最中、声がしわがれ、女性的な生殖のアルトに変る時、きまってヘリオガバルスが現われる。太陽の宝冠を戴き、火のように燦く無数の宝玉をちりばめたマントを身にまとい、金に浸して金泥に覆われた、不動の、硬直した、無用にして無害な男根を露わにし、恥骨の上には一種の鉄の蜘蛛をつけているが、サフラン色の粉を塗った臀を過度に動かすたびに蜘蛛の足は彼の皮膚を擦りむいて血を流させるのだ。(p.138)

ヘリオガバルスの放蕩が生き生きと、まるで見てきたかのように描かれていて圧倒される。イメージが飛躍しすぎて、私には理解できない箇所があるのが残念。